・桃の節句の晴れ姿

・桃の節句の晴れ姿

今年は暖冬といわれますが、寒さと温かさが見え隠れする毎日です。

3月と言えば桃の節句。ベーテルは、今年もお子さま方の健やかな成長を願い、また発作が止まりますようにと願いを込めて、お雛様を飾りお祭りをしました。この祈りは、ベーテル開設以来延々と継続されてきたことですが、何と今回はこの願いが叶い、人生で最高の時を迎えたある女性がいるのです。

彼女は、30年間という長い間、毎日襲う止まらない発作と付き合い、発作を止めて社会生活を獲得するための最後の砦として、Drソガの元に戻り共に歩み続けていた方です。毎年開催されるひな祭りでは、いつ起きるかわからない発作のため、着物を着ることができず、「私も着物を着て、踊りたい」そんな気持ちをかみしめて過ごしてきました。

しかし、この日は何と見事に8ヶ月間という長い発作抑制期間を経て、やっと夢を叶えることができ、ピンクの着物に身を包み嬉しそうに舞うことができたのです。既に他界してしまったご両親さまに見せてあげたい姿でした。

ベーテルには、数年前、外来の患者さんがベーテルに寄付して下さった七段飾りのお雛様が2組あります。ある日、ぼんぼりが壊れかけたのを気付いた他の外来の患者さんが、ぼんぼりを購入してくださるというエピソードもあり、皆さまから愛されているお雛様です。

今回、入院している患者さんのお一人が、ひな飾りの画像をSNSにあげたところ、「きれいに飾ってくれてとても嬉しい」という、ご本人さまからのコメントを頂きました。一組の7段飾りを通して、大きな輪のつながりや、長い間患者さん方を見守って頂けた幸せを感じることができました。

この七段飾りのお雛様を、入院している患者さんと一緒に飾りました。それぞれの並べ方、3人官女や5人囃子の持ち物の順番、お嫁入り道具の位置など難しく、頭を悩ませていましたが、そんな中にも会話が弾み、とても和やかに飾ることができました。患者さんの中には、発作が止まりますようにと願いを込めながら飾っていた患者さんもおられました。

当日は、全国13カ所のひな祭りの様子を映像で見ることから始めました。すべてが素晴らしく、特に千葉県勝浦市の遠見岬神社の石段に約1800体のひな人形を展示しているお祭りでは、大規模さと美しさに大歓声が上がりました。

久方ぶりに着物を身に着けた皆さま方は、センスを手に、着物を着て「たのしい ひなまつり」をしっとりと踊り、最後におしとやかにポーズを決め、お雛様に負けないくらいの笑顔を振りまいていました。後半は、現代のダンスも取り入れ、レッツダンスとして男女ともに「マッシュルBBBBダンス」「ジャンボリミッキー」を踊り、楽しいひと時を過ごしました。

今年、外来で勤務するスタッフのお一人がお琴を寄付して下さり、そのお披露目をしたところ、お琴を弾いてみたいという、飛び入りの患者さんもおられ、日本古来の文化に触れる良い機会にもなりました。そして、最後は年齢に関係なく皆さんが笑顔に包まれた幸せな時間となりました。

笠松 初枝

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