・てんかんイーブニングセミナーEESB第三期第5回講義を開催

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てんかんイーブニングセミナーEESBベーテルてんかん実践講座

「ルーティン検査入院とその後」

2019年第Ⅲ期第5回講義の報告

 

てんかんイーヴニングセミナーEESB、ベーテルてんかん実践講座2019年第Ⅲ期第5回講義(2019年9月12日開催)を報告する。今回の講義テーマは、「ルーティン検査入院とその後」である。予定通りに2019年上半期に退院した患者数110名A群に関する分析とケア提供について、看護科石川真弓が講義とした。なお、前回2019-IIIの第4回「長期入院が見込まれる患者ケア」の分析対象18名(B群)を除いている。

 

110名の内、脳波検査入院を目的とした人数は78名、治療吟味までを目的とした人数は7名、緊急入院が16名であった。全体の68%、約7割が脳波検査を目的とした入院であり、入院の中心であることが分かる。なお、脳波検査入院の中に循環器受診を予定したのは15名、5人に1人の割合で存在した。これは驚くべき数字で、近時のベーテルの特徴の一つと呼べる。

ベーテルの検査入院は2泊3日の時代から始まる。この時代をDrソガは検査技師にとって暗黒の時代だったと話している。2泊3日で24時間脳波を書き出せたのは驚異である。現在は7泊8日の検査入院が原則で、その人数は58名と74%を占めている。

さて、上記78名を、現年齢、発病年齢で区分すると、現年齢ではB群と異ならず、また発病年齢でも約8割が思春期までの発病であった。一つ、興味深い結果がある。ベーテルを訪れる患者は長年発作に苦しみ、藁をも掴むように発作を止めたいとの方で占められていた。近年、この面影は薄れ、検査入院者の約3割が未治療の方々であった。まだ、てんかんが何ものか知らない、多くはこれからてんかんが何ものかを知っていくことになるビギナーが増加している。スタッフは、発病したての患者を相当数ケアすることにならざるを得ない、ベーテルの新しい任務と役割を追加されていることを念頭に置くことになる。

入院予定日数が延長したB群には医学的問題と生活関連問題の両者が認められた。A群ではどうであったか、前回B群の分析で用いた問題項目22項目をそのまま当てはめて調査した。

まず、6名の症例を紹介する。

第1例は交通事故の後遺症で脳波異常を呈し、投薬治療を受けていた。10年以上再発なく、慎重に断薬作業を行い、ようやく断薬まであと一歩まで辿りついた。脳波精査を行い、断薬が可能かどうか、その後の問題因子を含めて、2項目を指摘した。

第2例は10年ぶりに発作が再発となった症例である。怠薬や生活環境にも問題を生じていたことが分かった。問題項目としては最多の6項目を示し、検査目的以上の問題を有し、外来ケアは相当の困難を抱えることが予測された。

第3例は、発症間もない未治療れいである。頻回の発作と活発な脳波異常があり、初期飽和が必要であった。初期飽和に要する入院期間を家庭状況が許さない。入院中30回を超える発作があったが、治療開始に留まり退院した。1月後に傍目に気づかれる再発となった。医学的問題項目が多く5項目であった。

第4例は光感受性てんかんで10年以上発作がない症例である。明瞭な脳波異常を示さなかったが、治癒判断は困難であった。2項目の問題点。

第5例は難治に経過し、過去に何度も入院治療が行われてきた症例。新規薬導入で発作が抑制され、慎重に薬を整理することとなった。目撃される発作花買ったが、非定型欠神があり得る脳波異常があり、極めて慎重な減量方針が立てられた。問題項目は薬物治療項目と、生活関連項目それぞれ1項目の計2項目の分かりやすい例。

第6例は脳症後遺による発症だが、治療薬VPA投与で発作が抑制された、のち断薬となった症例。知的障害により検査実施が困難なため、精密検査を受けたことがない。ベーテルで改めて活発な脳波所見があることが確認しされ、奏功したはずのVPAを再開した。その効果が乏しかったため、改めての治療吟味入院が計画されている。身体障害、発達知的問題など多彩で、6項目の課題を示した。

 

これらの症例の実像をイメージしていただきながら、以下をご理解いただきたい。各例が抱える問題項目を数えると、問題項目は総計151点、一例平均は2.6点であった。脳波検査を目的とした患者さんは平均2項目以上の問題項目を有していることとなる。3項目以上の問題項目を有した患者は4割余りで、脳波検査の目的は達成されながらも、問題項目の一つ一つへの回答は他の検査、たとえば神経心理検査などから暗示される程度の内容に留まる検査入院となっていた。

入院が延長となった患者B群では、患者が抱える問題項目の一つ一つが対処すべき、解消を探るべきアプローチが表面化するし、実際にその看護ケアまでに至る。脳波検査目的での予定入院では抱える問題項目は気づかれながら、潜在したままとなるのが実感である。検査入院の外来ケアは医学的には問題ないレヴェルに達するが、てんかんケアとして語る外来看護ケアに結びつける作業は至難となる。

今回発表の結論は、入院検査を必要とした患者の1年後の実情調査である。2019年後半の患者を加えながら、1年後に半年分、その半年後に1年分の分析ができる。もう一つの結論は、分析に用いた問題項目22項目を体系的なものに改めることである。

石川真弓

 


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