
主題てんかんのための夕べの集い2025―第二部
2025年10月18日、ホテルメトロポリタン仙台 4階千代の間にて、主題夕べの集い2025 が開催され、第一部のてんかん医学市民講座に続き、第二部の「てんかん祭り2025」が開催されました。今年の夕べの集いも、昨年に続き「笑い」をテーマにしつつ、今年は10月開催としてハロウィンにちなんで、みんなで仮装して語り、歌い、踊り、笑うという、にぎやかなお祭りとして企画されました。
開会に先立ち、例年ピアノ演奏で支えて下さいました、こづみ郁子さんによるメリカントのワルツのご披露の動画を流し、会場のムードを作りました。
そこから、てんかん祭りのメインとも言えるSpeakOutです。患者さんご本人とお母さまの3名による、とても気持ちのこもった生の声に、会場も涙を誘われる程でした。勇気を出して発表して下さったお三方に感謝です。開会すると、昨年から始まった、梅森智美さんによる歌唱コンサートです。ピアノの岩住環さんと共に、美しい会場のライティングにも勝る、素敵な演奏をお聞かせ下さいました。続けて、これも毎年欠かさず行っている、黙祷。一年間の間に、命を落とされてしまった患者さんのご冥福をお祈りしました。
乾杯の後は、今年の夕べの集いの裏テーマともいえる、「優しさに包まれたなら」を、岩住環さんの伴奏で、梅森智美さんが斉唱しました。この美しい音色は、主題歌として選ばれた魔女の宅急便を思い起こさせますが、これが、今後のプログラムの伏線となっているのです。
ここで景気づけとして、ベーテルチアリーディング部、キャンピーズによるダンスと、Drと子供たちによる微笑ましいお芝居があり、会場に笑いを届けました。続いて、ハンスバーガー協会が新しく建設するグループホーム「Vrede」の紹介を、理事長、副理事長はじめ利用者さんと職員も入った寸劇として、愉快にお届けしました。ここで、毎年夕べの集いを盛り上げてくれている、宮城学院の「ぽっそばらぁれ?」さんによる、よさこい踊りの第一弾が、会場内で舞い踊りました。
続いてご来賓紹介。例年、ただの挨拶ではなく、一発芸、コントなど、盛り上げる一芸をご参加の業者やご来賓の方に無茶ぶりしています。今年もやはり、皆さまの意外な一面を見ることができ、楽しい一時となりました。市民講座やSCAPEなど、てんかんケアの社会啓蒙にお力を頂戴している、横山信一財務副大臣からのビデオメッセージも、会場の皆さまにお届けしました。その後は、プレゼント交換です。今年は新しく、会場に大きな輪を作り、本当に手渡しでプレゼント交換するという試みを行い、ワクワク・ドキドキの気持ちを誘いました。会場を優美に照らす壁画大作。パズルとコント風に、面白おかしく作品を紹介してくれました。ここでも、ぽっそばらーれ?さんのよさこい踊りで、会場の熱気をさらに高めてくれました。
プログラムのいよいよ終盤にさしかかります。今回の夕べの集いのもう一つのメインイベントとした、「個展Fall in Love with Naoko」です。ベーテル患者である佐藤奈緒子さんは、自身が描いたイラストがてんかん協会の会報誌や、IED国際てんかんデイでも採用、紹介されるなど、てんかんであっても、自分の魅力を出し続けることができることを証明してくれています。ご家族のメッセージも頂戴し、こちらも涙なしには見れない程の感動をもらいました。
子供たちのかわいらしいハロウィンダンスに会場がほっこりとしてから、ハンスバーガー協会の利用者、職員による、かなり熱の入った仮装劇場が演じられ、皆の笑いを誘いました。続いて脳波選手権。普段は優しく冷静な臨床検査技師さんが、思わぬキャラクターを演じて、一緒に働いている職員でさえも、目が離せない程の驚きと大爆笑をくれました。ハンスバーガー協会の第二弾として、お薬の名前をもじったダンスが披露された後は、最後の演目となるありの塚歌劇団による「千と千春の神隠し」です。会場を大きくダイナミックに使用して、アニメになぞらえながらも、ベーテルでてんかんの治療やケアに携わる医師、職員に、お子様も含めた大熱演となり、会場を感動させてくれました。
最後は、よさこい本番。全員が立ち上がり、鳴子を持って大はしゃぎ。長丁場の疲れも吹っ飛ぶくらい、皆が躍って笑顔が飛び交いました。そのままの流れで、恒例の大合唱「今日の日はさようなら」を全員で歌い、大盛況の中で夕べの集いが幕を閉じました。
予定した時間よりも大幅に延長してしまうハプニングがありながらも、会場の皆さまの笑顔や笑い声、にぎやかな様子を見ると、本当に幸せな一時だったんだな、としみじみ思わされました。普段はてんかんの治療や闘病に加え、日常の忙しさや、時には辛さ、厳しさもあるでしょう。そんな皆様ごとの毎日の中で、一瞬でも立ち止まり、仲間同士で笑い合い、たたえ合うことができる、この夕べの集いに参加することができて良かったと、改めて感じました。てんかんに関わる多くの皆さまにも、「笑顔」が届くことをお祈りいたします。
神経心理士 阿部佑磨