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主題てんかんのための夕べの集い2025―第一部 仙台てんかん医学市民講座EPLS第58回のご報告

主題てんかんのための夕べの集い2025―第一部

仙台てんかん医学市民講座EPLS第58回のご報告

 

2025年10月18日、ホテルメトロポリタン仙台 4階千代の間にて、主題夕べの集い2025 が開催されました。

第一部 は、仙台てんかん医学市民講座Ⅳ EPLS-2025 秋期第25回(第58回)で、今回の目玉は医学記念講演(基礎脳科学研究)に、国立成育医療研究センター 精密創薬研究部 実験薬理研究室 室長の坂口秀哉先生に貴重なご講演を頂戴できました。

「大脳・海馬オルガノイド研究からみた、新しいてんかんの世界」と題し、iPS細胞などで知られる多能性幹細胞の研究の歴史、オルガノイドという3次元で再現できるようになったヒトの神経組織の研究の進歩の説明がありました。培養皿の中の世界で、神経のネットワークが作られていく様子を、鮮明な画像や貴重なデータと共に、詳しく学ばせて頂きました。倫理面についても賛否があるとのことでしたが、科学的な治験に基づき、今後の診断や治療に、大脳オルガノイドの研究が有用なツールであると、坂口先生の熱いメッセージを聞くことができました。

 

PSEてんかんケア実践講座は、4名の発表がありました。看護師石川真弓が「新てんかん発作表」として、発作が止まっている患者さんへの発作表の活用の提案をしました。臨床検査技師の平間良子は、「欠神発作、24時間VTR-EEG所見」として、欠神発作を捉える為に、24時間脳波が有用であることを伝えました。神経心理士阿部佑磨は、「得手不得手を知る神経心理検査Ⅱ、その2(その9)」として、中学生の患者さんの心理検査結果から、支援やケアのポイントを伝えました。今回は、ハンスバーガー協会生活支援員の太田健司が、「毎日を楽しく暮らす1,2,3、その4」として、ハンスバーガー協会の作業所、グループホームの利用者の幸福度について、実際に取ったデータをまとめて今後の可能性を提案しました。

 

てんかん医学連続講義は4題でした。看護師の海野美千代は、「てんかん患者マニュアルⅤ」として、てんかん看護の実体験から見えてくる患者マニュアルのポイントを伝えました。医師の荒谷菜海は、「てんかん症候群各論 新生児・乳児③」として、早期乳児発達性てんかん性脳症、遊走性焦点性発作を伴うてんかんについて、具体的な内容について報告がありました。医師の曽我天馬は、「光感受性てんかん-1997テレビアニメ事件を振り返る-」として、光感受性・光過敏性の発作について、分類や実際の脳波、報告された症例について報告がありました。医師の曽我海馬は、「てんかん重積と新たなレスキュー薬」として、2025年6月に承認された、てんかん重積状態への効用が認められる、スピジア点鼻液®についての臨床試験のデータと今後の期待について報告がありました。

今回の市民講座でも、最先端の貴重なお話や、日々てんかんの臨床現場で働く医師や職員からの実践的な内容をお伝えすることができました。てんかんの治療や医学的な進歩は常に続いていきながらも、毎日の生活や闘病を頑張る患者さんや家族、それを支える支援者にと、幅広いてんかん市民に、この市民講座の内容が届くことを願っております。

神経心理士 阿部佑磨