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てんかん市民

宮城県・仙台市とのてんかんケア懇話会 2025開催

国際てんかんデイIED第11回協奏「仙台てんかん市民会議SCAPE第7回−2025年」

―責任ある地方自治体におけるてんかん対策推進のためのアピール行動開始―

宮城県・仙台市とのてんかんケア懇話会 2025開催

 

2025年10月28日、宮城県庁および仙台市役所において、「宮城県政・仙台市政とのてんかんケア懇話会」が開催されました。本会の開催におきましては、遠藤伸幸県議会議員、村上智行県議会議員、鎌田城行市議会議員の取り計らい、仲介により実現することができました。各議員の方々のお力添えに感謝申し上げます。

両会議に先立ち、SCAPE発起人であるてんかん専門病院ベーテル開設者曾我孝志より、懇話会開催に至るまでの経緯を説明致しました。SCAPEとは、仙台てんかん市民会議の略称で、「てんかんのためなら、喜んで力を貸してもいいよ」と仰って下さる市民の集まりであり、2015年から始まった年に一度の国際てんかんデイIEDに協奏して、仙台では2019年からSCAPE会議を開催してきました。国際てんかんデイは、てんかん市民が地方自治体へアプローチを行うことを指示しております。

今年2月に開催したSCAPEⅦ-2025において、責任ある地方自治体である宮城県、仙台市に対して、てんかん対策推進のためのアピール行動を開始する旨の宣言をさせて頂きました。てんかん問題は、医学やケアにとどまらず、家庭や療教育、就労、生活、福祉など多岐にわたります。まずはてんかん問題への対策や取り組みの現状を把握、整理するために、地方自治体との意見交換、懇談を実施し、それらを継続していくための第一歩となります。懇談内容は、

第一に、てんかんケアのための行政の窓口と窓口間相互関係の明示

第二に、てんかん問題の情報資料にかかる団体、機関名の明示

第三に、てんかんケアの学際的研究の補助の明示

第四に、てんかんケアの相談情報機関への補助

の4点です。今回は陳述や請願となり得る前段階としての懇話という位置づけです。それぞれの話題に対して、宮城県、仙台市の各担当者の方々との意見交換の内容を以下にまとめ、報告いたします。

 

 

<宮城県>

2025年10月28日13時30分より、宮城県庁において、保健福祉部長志賀慎治氏、保健福祉部副部長遠藤圭氏、保健福祉部精神保健推進室村上靖室長、保健福祉部障害福祉課長野呂英樹氏にご参加頂きました。SCAPE出席者は、発起人の曾我孝志、海野美千代、世話人の庄司弘、荒谷菜海、曽我海馬、てんかんの天使団の島貫賢一、看護助言団の髙橋香苗、事務局の加藤千春、有賀穣、阿部佑磨です。議員助言団として、遠藤伸幸氏、村上智行氏、鎌田城行氏と、当事者・家族助言団として太田健司さん、松坂綾子さん、早川直美さん、宙さん、佐藤丈夫さんが参加しました。

宮城県におけるてんかんの窓口は、「精神保健推進室」であり、小児てんかんの窓口も同様であるが、宮城県として「てんかん」というくくりで担当している部署はない。てんかん対策については、精神障害全般として「精神保健審議会」の中で話題とされ、県としてのてんかん医療の実際としては、県立精神医療センターが担っている。宮城県として、地域医療計画に基づいててんかんを含めた精神疾患への対策を推進していて、国からの指示に対しては、精神保健推進室が直接の窓口で、一つの部署がてんかん問題全体を所管するという体制ではなく、関連する部署や団体からの報告をもとに、他の領域との情報共有をしている。

てんかん問題に関わる情報や資料などが直接宮城県に届くことはなく、てんかん協会の請願などの情報や、民間の情報も常に届き周知されるものではない。

てんかんケアに関わる研究への補助や研究機関の指定などは行われていない。

てんかん対策としては関わる宮城県としての把握、対応としては、てんかん診療拠点病院を設置している。事業活動は拠点病院の報告がある。また、事業内容は運営連絡協議会で議論される。民間の支援団体を含めた地域の相談体制として整備する方向性にあり、県民にはてんかんの相談窓口があることをHPで知らせ、普及啓発に努めている。日本てんかん協会の本部との直接的な繋がりはないが、てんかん協会の宮城県支部の方との交流や情報交換は、県支部のイベントや活動に便宜を与えている。また、ハンス・バーガー協会の新グループホーム建設の国庫補助申請については、精神保健推進室の担当ではなく施設支援班があたり、重度障害者への支援の必要性から公正に審査した。

<仙台市>

同日15時より、仙台市役所において、健康福祉局長郷湖伸也氏、障害福祉部長水野直子氏、障害者支援課精神保健福祉担当課長佐藤大介氏にご参加頂きました。SCAPE出席者は宮城県との懇話会のメンバーと同じです。

仙台市としてのてんかん対策の窓口は、精神保健福祉担当課であるが、小児の場合、制度や内容によりこども若者局や健康福祉局の数課が関わる。てんかんの病名が統計資料から消えてしまったのは、診断方法やコード化の変化によるもので、現在は「その他」の中に含まれ、国の630調査というデータでの把握となる。仙台市のてんかん医療ケアについて、政令市にてんかん診療拠点病院の設置の要請はない。仙台市立病院の小児科が積極的に診ている現状にある。てんかんの専門担当や、疾病対策のための担当部署はない。障害児者への対策としては、県と同様に精神保健福祉審議会を開いているが、審議会委員構成は県の審議会と重なっている点は認める。

仙台市としての相談窓口は地域支援係であるが、相談の内容による振り分けを行う。サービスや支援の具体的窓口は障害者支援係となる。県と同様に、てんかんを包括して担当する部署は役所の性質上存在せず、医療費や難病など内容によって担当部署に振り分けられていく。外部からの情報も障害者支援課が窓口となり、難病連経由で日本てんかん協会宮城県支部の発言などを拾い上げている。職員や関連機関・団体などからてんかんの教育研修のニーズは高い。

仙台市はてんかん対策としては、基礎自治体として日々の生活における相談支援を担当する立場にあり、市民の直接の窓口であるが、担当の個人差や部署移動による経験の長い職員が定着しない実情などがある。

<まとめ>

以上、同日に宮城県、仙台市と時間が足りないくらいのスケジュールではありましたが、各担当の方々との初めての懇話会を開くことができたことは、大変貴重な経験であり、てんかんケアを地方自治体へアピールし、実現していくために重要な一歩となりました。当事者やご家族の生の声や思いも直接伝えることができました。この懇話会の第一回の開催の意義については、特に議員助言団は、今回は第一歩となったと評価なさっており、次の第二歩はSCAPEⅧ-2026アピール、そしてその次の第三歩に繋がると確信できました。

この度ご参加、ご協力頂きました関係者皆様のお力添え、ご厚意に感謝申し上げます。

 

2025年10月30日

SCAPE事務局 阿部佑磨