2025年3月3日
1999年の開設間もないベーテルは、発作を止めて、何としても社会復帰したいと願う若者たちで溢れていました。共に歩んでこられた親御さん方の想いはそれ以上で、Drソガに将来を委ねておられました。そんな中、毎月季節の行事を計画し開催していることを知ったご家族さまが、お子様が成長したのでと7段飾りのお雛様をご寄贈くださいました。当時は、2月から3月3日までの1ヶ月間、病棟ディールームに飾り、朝な夕なに愛でたものです。その後、もうお一方より追加で雛段飾りをご寄贈いただき、更に華やかに女の子のお祝いができるようになりました。今や、国際てんかんディーにメッセージのバックを飾り、患者さんの想いに乗せて世界に発信されています。
海野美千代
<参加した患者さんからの感想>
今回は準備の段階からの参加で、「ひな壇」も初めて飾りました。色々な飾りがあるのだなと感心しました。6段目、7段目がもうパズルのようで完成が近づくたびにワクワクして楽しかったです。そして本番、1番驚いたのが「抹茶」です。基本、自分はブラックコーヒー派なので多少苦くても美味しく飲めると思いましたが、実際は想像よりも苦くて、顔に出てしまいました。和菓子の必要性を理解しました。初めての抹茶はほろ苦い思い出です。
首藤浩之さん
久しぶりに着物を着て恥ずかしかったけど、意外と楽しかった。着る機会はあまりないと思うから、着ることが出来て良かった。抹茶を立てた時は、手首が疲れ、とても難しかった。味は緑茶をもう少しだけ苦くしたような味だった。ピアノを演奏したが、大勢の前で弾くのは2‐3年振りだったから緊張したけど、それ以上にピアノを弾くことが楽しかった。好きなことはやっぱり楽しいと思う時間だった。
熱海一華さん
2025年3月3日、女の子の幸せと健やかな成長を願いお祝いする「ひなまつり会」を開催しました。2つの7段飾りのひな人形が並び、桃の節句にちなんだ装飾を施した体育館を会場に、5人の女性が着物で着飾りお抹茶を立て、入院中の皆さまと共に楽しい時間を過ごしました。着物の柄を「どれにしよう」と悩み、着てからも「どう動いたらいいの?」と戸惑いつつも、いつもと違う自分の姿に笑みを浮かべていました。抹茶を立てるのも「初めて!」という方も多く、スタッフに手ほどきを受けながら真剣に茶せんを使って試行錯誤。ゆっくりと抹茶を味わい穏やか雰囲気となった頃、2名の方のピアノの演奏と1名の方の歌披露がありました。演奏はスピッツの「チェリー」「空も飛べるはず」とバッハの「プレリュード」。入院生活で触れる機会も少ない中、大勢の前で堂々と弾くことができていました。また歌はヨルシカの「ただ君に晴れ」を緊張しながらも自身の事を歌詞に重ねて上げました。着物姿の女性たち、甘くもほろ苦い抹茶、そして美しい音楽と歌声が彩る中で、春の訪れをみんなで感じることが出来ました。
てんかんと共に歩みながらも、その時々の季節の催しに触れながら、今を大事に生きていけたら幸いです。
作業療法士 野田 笛