2025/02/28
2011年3月11日から丸14年を過ぎます。ベーテルは被災地となった宮城県岩沼市にあり、この地も巨大地震と巨大津波に襲われました。ベーテル自体は山裾にあり直接の被害は免れましたが、12名の方がお命を奪われ、数十名が危機に瀕しました。ベーテル直接現場に関連して2名の方を救えませんでした。
多くの方々のお励ましを頂戴しながら、ベーテルは2.11以来、例年3月11日に頭記3.112011ベーテルーてんかん市民の誓いーこづみ郁子コーラスライン追悼式を行ってきました。医療機関として努めてきたのは、外来の方は受診日には手持ちのお薬がまだ2週間分残っていることです。また、緊急連絡者先をご家族に限らない二つ以上の方々、社名をお知らせいただくことです。
ベーテルの本棚は今なお3.11の被災時のままであり復帰できておらず、爪痕の名残りとなっています。また例えば、復興用土対策のため、ベーテルの周辺の山肌は荒々しく削り取られ、痛々しい姿が方々に残っています。そして今、復興事業本体も粗方終了しており、自治体によっては追悼式も行われなくなってきています。3.11が2011年(平成23年)であったことも直ぐには思い浮かばない方々も増えてきました。
さありて、2019年に始めた当方のブログでは、「フクシマゲンパツ・メルトダウン」の逃避行中に亡くなられた福島の方々の無念や悲惨を想う、を繰り返しとりあげた時期があります。2020年には被災件である宮城県の知事がオナガワゲンパツの再稼働を早速に認容し、2024年暮れに実際にそうなりました。2024年1月1日の能登半島地震の教訓があるにかかわらずです(志賀原発の一触即発は本当に怖かったですね。)
本体日本国の少子化過疎化に輪をかけて被災地の殆どは避難に加え人口転出、減少のままで、必死に復興を図りながらもいわゆる地域インフラは細々です。一方、災害住宅での調査で孤独死の件数が増えているという地域社会を失くした方々の寂しい事態が取り上げられました。大災害は天災であり逃れられません。天災を由因とする綻び人災は避けようがあり得ても反省に過ぎません。
2017年、核兵器禁止廃絶を訴え続けているICAN-icanにノーベル平和賞が授章されました。2024年、原水爆被害者団体協議会が同じくノーベル平和賞を受賞しました。まことにおめでたいことですが、この二つのノーベル平和賞授章は日本社会に何かしらの深奥の影響を与えるには如何せん無力なようです。今回第三回となる核兵器禁止条約締約国会議にも唯一の被爆国日本の政府はオブザーヴァとしてすら参加しないとのことです。一方、2月18日に政府はエネルギー基本計画を閣議決定し、ゲンパツを最大限活用すべく再稼働や建設を承認しました。ゲンパツの存在がむしろ賞賛される事態に変わりつつあります。
医療ではゲンパツ被災者にはまだ医療補助が残っています。ゲンパツ以外では生活再建にまでは繋がっていない被災者が多数残っているはずですが、3.11関連では全てが打ち切られ、何かしらの手当が残っているとはもはや聞きません。情報をお持ちの方は是非当方にお寄せください。感謝します。
一方、国民皆が支払っている復興特別税は、法人税は2012年から2014年までで終了、所得税では2013年から2037年までの25年間、税額に2.1%分を上乗せ、住民税は年1000円加算で2024年5月までありました。復興特別税の使い道として4つめが原子力災害からの復興・再生の項目があり、現在までの復興特別税19兆円〜23兆円の如何ほどが振り分けられたかは、専門家達にわかりやすく説明してもらうのでなければ皆目見当もつきません。2037年までの12年間の税金はどのように使われていくのでしょうか。ご存じの方は、情報をお寄せください。
さて、ご当地の河北新報は2月21日の社説で、イギリスがプルトニウムを廃棄する方針に転換したことを解説しました。プルトニウムをウランと混ぜたMOXとして再利用することは(資源、余剰となってしまった)やめて(いわゆるプルサーマル計画)、地中に埋めて廃棄する(未来に禍根を残す超厄介なゴミとなる)。プルトニウム保管は安全保障リスクと核拡散の懸念となり、日本も委託先イギリスを失い、半ばMOX理論の破綻となる状態にあります。改めて、知らぬ間に電気代値上げに付けを回す(中小民間にはあり得ない、電力会社の収支決算という広告発表)ゲンパツ依存は、当ベーテルにとっての大きな課題、ゲンパツ逃避行被害者を追悼する、に、ゲンパツの検証は非常に不十分であり、常に最悪の事態を想定すべきとしたフクシマ事故調査・検証委員会の柳田邦男委員長代理の警告(朝日、2025年1月23日)に素直でありたいと想います。手で触れたり指を突っ込むことを神が許さないことは、決してすべきではない、という哲学にすがるよりない、恐ろしい貧困です。
また、3.11がやってきます。悲しくも合掌し、コーラスラインに混じります。
なお、来年2026年は丸15年となります。 (Drソガ)
<参照>
柳田邦男、聞き手・三浦英之−関根慎一.問う女川再稼働:原発活用 見過ごされている点ないのか、元政府事故調・委員長代理柳田邦男さんに聞く、当事者に寄り添う「2.5人称」視点を、検証「極めて不十分」・常に最悪の事態想定すべき.朝日新聞、2025年1月23日.