4月20日、陽光に恵まれて今年もベーテル恒例のチュルペン祭りが開催されました。気候温暖化のため、例年より10日も早いチューリップ祭りで、チューリップの花が咲き誇り、急かされるようにお祭りをお祝いしました。
ここ数年、コロナの影響を受け、感染対策やら何やらで開催は続けるものの、屋外駐車場広場で口マスクを着けながらの粛々としたもので、折角の春なのにと無念が漂っていました。暖かい青空の下、柔らかな日差しの中で、一面咲き誇るチューリップを入院患者さんみんなが一緒にお花を愛でることができました。
何気ない日々を送りながら、チューリップが咲いてくれるのをこんなにも愛おしく思っていたのです。素晴らしいです。
ベーテル病院では、シーズン毎に伝統の花祭りがございます。
チューリップ、バラ、ダリア、それぞれが咲き誇るその時を覗いながら、開催されています。その思い出は、毎年それぞれの花が咲く度に巡ってきます。あの時、あんなことがあったなあ・・、こんな出来事もあったっけな。
どれも素敵な思い出になっています。今年、チュルペン(オランダ語)祭りにに参加された皆さんは、どんな思いを抱いてベーテルを巣立つ、つまり退院なさるのでしょうね。
チューリップは、ベーテルの“院花”です。ベーテル開設者のドクターソガが、オランダのてんかんセンターに留学していた際、一面に咲き乱れるチューリップ畑に感動し、病院を開くなら“花壇はチューリップで埋め尽くす”とインスピレーションを受けたそう。
チューリップと言えば、オランダが有名です。その中でも、17世紀のオランダで起きた「チューリップ・バブル(チューリップ狂時代)」は有名なお話しです。
当時のオランダは、貿易で世界一お金持ちな国でした。人々はおしゃれや見栄にお金を使うようになり、その象徴がトルコからやってきた珍しい花「チューリップ」でした。特に、病気の影響で偶然生まれた「しま模様」の美しい品種は、とても希少で、貴族やお金持ちの間でステータスシンボル(持っているだけでスゴイと思われるもの)になったのです。これは、世界で最初に起きた「チューリップ・バブル(泡)」として有名な出来事です。(ところが、実は感染病がなせる縞模様だったという説すらありますが。)
ちなみに、開設当初は、スタッフと患者さんたちが一緒になって、花壇に球根を植えて育てていたそうです。今は、時代の流れで、病棟の患者さんの入院期間が短くなり、また比較的に重度の障害や重症の方々の割合が増えて、昔のように園芸療法まである活発な入院生活の姿は見られなくなってきました。代わりにハンス・バーガー協会の利用者によるベーテル園芸班が土作りに始まり、球根を植え、大切に大切に育て、一年中の花畑を守り抜いています。
チューリップを咲かせるには、晩秋に球根を植えています。寒い冬を越して、半年かかります。チューリップを愛する人は半年後を楽しむ方々です。
なお、チューリップは「たね」から育てることもできますが、花を咲かせるには、この場合は7年もかかるそうですよ。
また、チューリップの球根はただではありません。ベーテルは花を咲かせることはできても球根を育てる力はありません。お値段も年々高価となってきています。なのに、ベーテルは惜しげもなく、エッ!、庭に、花壇に、毎年、1年限りの球根を植えて咲かせています。
皆さんは、チューリップ祭りにどんな思いを重ねましたか?
私は思います。
恋人たちが花に抱かれて眠れること。こんな世界がいつまでも続きますように。
2026年4月20日
有賀 穣
