2025年10月18日に開催された、主題てんかんのための夕べの集い2025、第58回てんかん医学市民講座Ⅳ 2025と、2026年2月7日に開催された、仙台てんかん市民会議SCAPEⅧ 2026の内容が収録された、「てんかんケア仙台2025-2」を、2026年5月30日に開催された仙台てんかん医学市民講座EPLSⅤ-2026に発刊いたしました。
1.SpeakOut
夕べの集いのメインともいえるSpeakOutでは、ご家族である岩間智子さん、中鉢賀子さんはお子様への深い愛情と決意を、患者さんである片岡智美さんは、自身の人生を振り返り、新たな挑戦を進める意思を、それぞれ発表されました。
2.仙台てんかん医学市民講座第58回
てんかんケア実践講座PSEでは、看護師石川真弓が、発作表の活用から見える課題と提案をしました。臨床検査技師平間良子は、24時間脳波で欠神発作を捉える実例を話しました。神経心理士阿部佑磨は、中学生の心理検査結果から見える傾向と、支援やケアの考えを伝えました。ハンス・バーガー協会生活支援員の太田健司は、利用者へのアンケート結果から、幸福感の実際と今後のハンス・バーガー協会の課題をお話しました。
医学記念講演は、国立成育医療研究センターの坂口秀哉先生がご講演下さった、最先端の海馬オルガノイド研究の貴重なお話でした。鮮明なスライドと共に、多能性幹細胞から
次元の神経組織を作る歴史や過程、そして病気のメカニズムや治療法の研究、倫理的問題への向き合い方や姿勢など、高度で専門的なお話ながらも、聴衆を引き付ける非常に興味深いご講演でした。
連続講義では、看護師の海野美千代が、てんかん闘病体験集から学ぶ患者マニュアルについて、具体的なメッセージを伝えました。医師の荒谷菜海は、新生児・乳児の3回目として、早期乳児発達性てんかん性脳症と、遊走性焦点発作を伴うてんかんの2つを説明しました。医師の曽我天馬は、光感受性てんかんについて、過去に大きく取り上げられた事例に基づき、光とてんかんの関係や臨床経過からの学びをお話しました。医師の曽我海馬は、発作重積時に使用される新たなてんかん薬、スピジア点鼻液について、基本的な情報を分かりやすく説明しました。
3.仙台てんかん市民会議SCAPE Ⅷ-2026
仙台てんかん市民会議SCAPE Ⅷ 2026は、てんかんに関わる様々な領域の専門家や全てのてんかん市民に開かれた会議で、今回で第8回目となりました。総合テーマは「てんかん対策基本法を語る」としました。日本障害者協議会の代表、藤井克徳さんをお迎えし藤井さん自身が歩んできた障害福祉への関わりと障害の人権モデルの重要性、優生保護法問題の転換期となった最高裁判決の経緯をとても分かりやすくお話頂きました。また、自身が作成した2つの詩を朗読し、まんざらでもない社会への希望を、皆に温かく伝えて頂きました。なお、テーマは「疾病や障害を有する人たちの生活史としての社会モデル・人権モデルの現在、障害者権利条約を宮城県の隅々に、私たち一人ひとりに問われること」でした。
また、昨年10月28日に、SCAPE構成員が宮城県庁、仙台市役所へアピール行動として懇談会を行い、その経過を報告する場となりました。議員や県庁、市役所職員からのお話も頂戴し、てんかんケアをまた一歩新たなステージへと進めることができました。
そして、当事者家族である早川直美さん、日野一枝さんによる、率直で子を想う母の強い決意、心情が表れたSpeak Outは、聴衆の心を熱く揺さぶりました。ベーテル病院、ハンス・バーガー協会の職員からの、てんかんケアの実践や問題提起も含めた、非常にボリュームのある内容が収録されています。
てんかんケアに日々ご尽力、ご協力頂く皆様に、広くお手に取って頂き、それぞれのお役に立てる一冊になることを願います。
神経心理士 阿部佑磨