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抗てんかん薬

ETDD XVIII 2025 (ETDDてんかんの治療方法と診断技術会議第18回会議) プログラム紹介 (1)

ETDD XVIII 2025
(ETDDてんかんの治療方法と診断技術会議第18回会議)
プログラム紹介 (1)
2025/06/03 Drソガ

5月末、5月28日から5月30日まで、アメリカでてんかんの新薬、診断技術の会議ETDDが開催されました。当方はヴァーチャル参加です。時差が13時間あり、日本時間夜の21時から朝の5時までの議です。ETDDは以前はAntiepileptic Drugs and Devices Trial:AEDD Trials と呼ばれていましたが、2023年の第17回会議から改称されました。抗てんかん薬新薬開発の名称に治療技術を加え、そして前回から薬物開発の名前が治療開発に、また技術開発が診断治療技術開発に変わってきました。
当方は2015年から参加しておりますが、AEDD Trialsは、ヨーロッパのEILATとほぼ同じ規模で200名ほどの参加者です。総合的なてんかん学会ではなく、新薬と技術に特化した専門家会議です。日本の参加者は殆どありません。
この欄では、今回第18回の新薬候補の物質名一覧を披露します。プログラムの全体構成、新薬候補・開発技術候補の詳細、ならびに是非お伝えすべき最新版の貴重な講義は続編とします。また、ご質問があれば、ベーテルのメールアドレスで、ソガ宛に直接ご指示ください。

 

 第18回ETDDのプログラム
開会:てんかん研究コンソーシアム:ESCI、アメリカてんかん財団EFA、国際てんかん学会:ILAEのご紹介と歓迎の言葉(重要!)
セッションI:前臨床(段階としてのモデル開発):4題
セッション II:名称(用語)に含まれていること:抗発作、機序標的、原因標的:3題
セッションIII:前臨床段階の候補:4題
セッション IV:臨床治験のデザイン:5題
セッションV:小児てんかんと稀少てんかん:4題
セッション VI:遺伝子と細胞ベース治療−パイプライン:4題
セッション VII:技術開発:4題
<Shark Tank Competition>
<アメリカてんかん財団表彰>
てんかん研究の生涯促進者:Devinsky O 教授
セッション VIII:NINDS、薬剤性催奇形性、治療技術開発:4題
セッション IX:技術開発/デジタル戦略−パイプライン:10題
セッションX:新薬パイプライン−臨床段階:13題
※ なお、セッション毎にディスカッション時間20分を設けています

 

新薬候補
前臨床 
① LRP- 661:CBD Sulfate
② UBE3A遺伝子異常へのASO(疾患修飾):Dup15q症候群、Angelman、Dravet-SCN1A、3相目指す
③ SN-200:難治てんかんへのリン酸ダイエステレイス4B(PDE4i)へのアロステリック抑制効果
④ セレトラセタム(SEL):鼻腔内投与、急性救命治療
遺伝子と細胞ベース治療
⑤ AMT-260:AAV-microRNAベース治療、難治内側頭葉
⑥ ETX101:SCN1A+ドラヴェ症候群
⑦ NRTX-1001:GABA作動性内在神経細胞治療(2相)
⑧ 早期発症の発達性てんかん性脳症へのASO
臨床治験段階のパイプライン
① BMB-101(5-HT2C 作動薬:1相)
② BHB-7000(Kv7.2/7.3活性剤)
③ OV329:GABAアミノ変換酵素(AT)の耐用抑制
Vigabatrinと比較検討
④ Azetukalner:(KCNQ遺伝子1-5)、3相
⑤ UCB社の開発段階:(スライド提示なし)
⑥ Pannexin:ATP放出―耳誘導脳波記録を指標とする
⑦ Lorcaserin/EPX-200:Clemizol HCl、5HT2C作動、3相
⑧ RAP-219:選択的陰性AMPAR(AMPA受容体調整蛋白)-TARPγ8調整剤、2相a
⑨ Bexicaserin:5HT2C受容体作動
⑩ Radioprodil:Grin病、NMDA受容体GluN2B陰性アロステリック調整
⑪ BL-001:腸内細菌叢、稀少発達性てんかん群
⑫ Vormatrigine(PRAX-628-101):ナトリウムチャネル抑制
⑬ SPN-817:Huoerzia Serrataハーブのアルカロイド物質(AChE抑制剤)、焦点性てんかん、第2相a
の21種類でした。

なお、前回のETDD XVII-2023で発表された新薬(関連)候補を区分けしたものを、「てんかんケア仙台2023-2」第37集、92-108ページ(SCAPE-VI 2024、セッションII:てんかんの治療と診断方法の未来、1;抗てんかん薬-抗発作治療薬ASM新薬開発の現地平)を貼り付けましたので、ご比較ください。
今回の新薬候補に新しく含まれたもの、今回は姿がないもの、があります。AEDD TrialsやETDDは創薬企業にとっては、以後の開発資金獲得を含めて、開発途上での成果を発表する絶好の会議です。とはいえ、何かしら時宜とならないものもあるようです。(続)