SpeakOutで締めくくられた第一部が終わり、主題夕べの集い てんかん祭りの第二部が開幕しました。今回は、てんかん市民の笑顔が咲き乱れる「笑い」をテーマに、パワーアップしたてんかん祭りが今年のコンセプトです。患者さんもご家族も、各関係機関の方々も、最後には盛大な笑顔とにぎやかさで彩られ、大盛況でした。
第二部のはじめは、てんかん専門病院ベーテル新院長 荒谷菜海とてんかんクリニック仙台駅前ベーテルの新院長 曽我海馬、そしててんかん専門病院ベーテルの名誉院長 大槻泰介の就任披露でスタートいたしました。それぞれの想いや思い出を含んだ挨拶の後、旗のプレゼントとなりましたが、上下が逆の大ハプニングが。もちろん入念に考えられたコントの始まりで、感動や緊張感との落差に、会場にはまだ硬さやかしこまった雰囲気の中で進みました。
続いて、ハンス・バーガー協会 理事長 国井陽介による開会宣言の後、今年1年間で亡くなられた患者さん8名のご冥福をお祈りする黙祷が執り行われました。それぞれの方の経緯や思い出を語り、てんかんの治療のため一緒に闘病を続けた仲間たちの旅立ちに、会場全員で黙祷を捧げました。
毎年夕べの集いの恒例となっていた「こづみ郁子ピアノコンサート」は、今回動画での演奏披露となりました。変わってご披露くださいましたのは、共にベーテルに月2回お越しくださり音楽療法を担当して下さる梅森智美先生です。今回は、「第一回梅森智美歌唱コンサート」でピアノの岩住環さんと共にご登場くださいました。梅森智美先生の美しい歌声が、会場の素敵なライティングに彩られながら披露されました。
ベーテルと長い長いお付き合いのある、てんかん協会福島県支部代表の吉田大二さんと奥様の寿美さん、息子さまの光宏さん、Drソガと弟の陽寿さん、お子さん達ご家族も登壇し、大きな傘をグラスに見立てて、華やかなパーティの会食を宣言する乾杯で美味しい食事会が始まりました。
今回の夕べの集いは、Speakout大会です。その第一弾として、仙台てんかん市民会議SCAPEで多大なるご貢献を頂戴している、公明党参議院議員 横山信一先生のビデオメッセージが映し出されました。その後、庄子賢一衆議院議員からの祝辞披露、健康福祉部菅原歩美さまからのお祝いのメッセージを頂戴いたしました。続いて、宮城県議会議員の村上智行さま、仙台市議会議員の鎌田城行さまからのお言葉を頂戴し、ベーテルとてんかん市民を支える各企業様からも、クスっと笑えるエピソードを一コマ含めた楽しいご挨拶を頂きました。
今回は、夕べの集いでは常連となる、宮城学院女子大学 [ぽっそばらーれ]
の皆さんが時間一杯参加してくださいました。ここで、景気づけのよさこい1「流華」が披露されました。会場を一気に明るく華やかに盛り上げてくれました。
Speak-Out第二弾は、Speak-Outベテラン陣総揃いと題し、35名の皆さま方にご参加いただきました。三度に渡り、闘病を第一線で支え続けたてんかん医療体験発表をされました早川直美さんが、代表しご挨拶くださいました。発表者全員が掲載された年の「てんかんケア仙台」を会場の皆さま方にご披露しました。
再度の登場、よさこい2‐予感「可児三馬」の演目が、鳴子を使い皆が参加する総踊りで、会場の熱を一気に高めてくれます。これまでの夕べの集いでは、会の最後の出し物として盛り上げてくれていたよさこい踊りですが、今回は一味違います。第二部の様々な場面で、よさこいの可愛らしくもエネルギッシュな女の子のよさこい踊りが、各所で登場するのです。Speakoutでまとまりが出てきた会場に、楽しさと華やかさでより一体感を与えてくれました。
そして休む間もなく、Speakoutの第三弾に移ります。ベーテル本院の新院長Drナミと娘さん、駅前クリニック新院長とDrソガのお嬢さん篠島未海さん(かなりあがうたうの表紙、挿絵を描いておられます)、娘さんによる、ほっこりと心温まるピアノ演奏です。それぞれの緊張感と真剣さ、子ども達のあどけなく真っ直ぐな振る舞いに、会場の皆様の気持ちが和らぎ、笑顔と拍手に包まれました。スクリーンを使った、子ども達へのクイズでのやり取りで、笑いと癒しを与えてもくれました。
ここで恒例となっている、巨大な壁画大作の紹介のコーナーが始まります。壁画大作は、夕べの集いの会場に明るく強いインパクトを残してくれる、患者さんと職員が共同で制作したその時々の花の絵です。それぞれの花が持つ繊細で色鮮やかな様子を、力強く描いて完成された巨大な絵画は、毎年お集まり頂いた方々の心を奪い、会場を魅了します。今年はベーテルの象徴ともいえるチューリップです。初の試みとして、今回は大作を少し小さく、パズルにして、会場の皆さんと完成させようというコーナーがあり、皆さん試行錯誤で盛り上がりながら、綺麗なチューリップを作ってくれました。
ここからは、怒涛の演目が続いていきます。まずはベーテル職員による「チアダンス」を披露。可愛い女性と屈強な男性が、てんかん市民を応援しました。続いてベーテルの入院治療を経験し、Speak-Outにも挑戦した経験を持つ佐藤仁哉さんが、「新宝島」で素敵な歌声を披露。次は、ベーテルの臨床検査技師たちが、「脳波の早付け選手権」を行いました。様々なアクシデントやハプニングが、面白おかしくも、実はベーテルの脳波検査の日常の苦労も表現しているという深い演目となりました。さらに、てんかんの方々の社会復帰を担当している、ハンス・バーガー協会の利用者さんによる「抗てんかん薬ショー」が続きます。それぞれ発作の抑制や減少に効果を上げた抗てんかん薬を模して、煌びやかにパリコレ並みのウォーキングを披露しました。最後には今後期待されるカンナビジオールの妖精が登場し、会場を沸かせました。
そして、職員による怒涛のコント、演目の終盤に差しかかります。ベーテル職員と患者さんによるライオンキングは、会場に感動を与えてくれました。日頃忙しく働く職員が、自然体を開放して自身の感情を開放させ、会場の気持ちを一つにしてくれました。続いてハンス・バーガー協会の若手(?)職員による、ザ・ドリフターズの往年のコントを模した発表です。会場を巻き込みつつも、若手(?)が日々の軋轢を忘れた自由なコントや大喜利を披露し、会場に勇気と希望を与えてくれました。
様々な演目で会場を笑いと笑顔で包んでくれた演目の流れを引き継ぎ、ぽっそばらーれが最後の演目、「よっちゃれ」「乱舞」「うらじゃ」を披露してくれます。特に乱舞は毎年夕べの集いを盛り上がてくれる、職員にとっては体に染みついた魂の踊りです。ここまで来ると、会場の皆さんも、日常の姿や素面を忘れて、よさこいの踊りに魅了されて勝手に手足が動き、音楽に合わせて踊ってしまうほどです。まさに、「てんかん市民が楽しむ祭り」の真骨頂となりました。童心にかえるプレゼント交換やバトミントンの羽でキャッチした人に幸せが訪れるシャトルコック掴みがあり、最後の大合唱へと続きます。「逢えてよかったね」、「今日の日はさようなら」を会場の全員で大合唱しました。
てんかんという病気は、未だ偏見や誤った理解が多く残ります。しかし、ベーテルという唯一のてんかん専門病院には、てんかんが治らず、苦しむ方々が数多くいらっしゃいます。患者さんもその家族も、皆さんと同じ時間、時代を生きているのです。前向きに生きる人もいれば、様々な感情を抱き、葛藤し苦しむ方がいます。みんな一緒です。こんなに同じ時間、場所を楽しむことができます。幸せをつかみ取ることができます。是非忘れないで、私たちと共に、てんかんケアの道を進んでいきましょう。
私共は、今後とも皆さま方のご支援を賜りながら、てんかん医療と社会啓蒙活動に努めてまいります。より一層のご支援をいただきますようお願いいたします。
阿部佑磨