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てんかん発作型の国際運用分類2017の改訂案 パブリックコメントを募集、10月16日まで

ベーテルニュース−ILAE

国際てんかん学会ILAEより改訂版てんかん発作分類体系に対するパブリックコメントの募集が行われています。1981年分類を元に2017年に改訂後、7年間41文献の蓄積を元に臨床利用を見据えた改訂とのことで、7つの主要変更点が説明されています。示された図表の日本語訳も見ることができます。

ILAEのてんかん発作分類体型2017年に関しては「てんかんの天使達仙台2022−1」Drナミによる講義に資料があります。        (Drテンマ)

リンク:https://www.ilae.org/guidelines-anda-reports/updated-classification-of-epileptic-seizures-position-paper-of the-international-league-against-epilepsy

背景解説

8月22日のILAE News国際てんかん学会ニュースによれば、てんかん発作の国際分類の更新案(国際てんかん学会ILAE「てんかん発作の分類委員会」が、2017年に策定した発作の運用分類の改訂原案)をILAEを構成する各国てんかん学会会員に提示した。原案は、パブリックコメント(パブコメ)の検討を経て、正式に学会報告書となる。なお、どなたにも権利を与えられたコメント提出の締め切りは10月16日です。

ILAEの公式見解書となる論考は、特にガイドライン作成に当たる各種特別委員会Task Force Commissionによる討議が重ねられ、二重三重の階層的会議を経て公表される。なお、忘れてはならないのは学会見解書なるものはいずれてんかん学の公式地平となり、用語とその概念はてんかん学の世界を領導していく。具体的には各種研究領域でもILAEの分類通りの基準に忠実であることを促す。この暗黙の領解がてんかん研究の駆動軸となることも多い。

この種の公式見解書は、近時はインターネットで通常会員にも等しく配信されるようになり、いわゆるパブコメを求める手続きを踏む。学問の世界も、国際レヴェルでもこの種のパブコメ流儀の民主的体裁(委員構成も平等に地域割りするなど)を整える時代となった。なお、世界のてんかん医学は狭い学問領域であり、世界中集めても研究者の数は少なく、もともと国際的に結集しててんかん医学を発展させてきたという歴史を有する。言い換えれば、世界中のてんかん医は仲がよい。

2017年の発作分類は、2014年の「てんかんの実践的定義」策定以来、「ユーザー(主にてんかん医対象)のためのマニュアル」となるような目標を掲げた点に一大特徴があったが、今回の改訂案も、同じく更に「リアルワールドでの臨床的有用性」を練熟させるため、つまりてんかん臨床医が世界中のどのてんかん医も相通じあえるように、当該の患者のこの発作症状を、どのように描けばよいのかを可能な限り同じ表現で発作徴候を事実通りに記載しようとしてきた。発作症状の一連の流れを目に見えるように、頭の中でイメージできるように、臨床場面で更に役に立つ分類記述として表現した命名にしたいとしている。もともと臨床発作の一連の時系列記述はてんかん臨床の基礎中の基礎なのだが。

なお、メンバーは全世界地域・各国てんかん学会から37名が指名された公平に構成され、2017年から7年を経ての2023年のダブリン国際学術集会に合わせて、その詳細は省くが新分類提案を吟味検討し得た都合41論文(特別委員会構成メンバーの論文を除く)を総括した結論として、今回の原案となった。

象徴的な発作分類10症例が提示されたが、紙幅上2症例を紹介する。

<症例1> 22歳男性、睡眠中の発作を目撃

焦点性か全般性かは不明の全般性強直間代発作:UTC; 3.4となるが、別

例では右頭頂部に徐波焦点あって、MRIでは同部に皮質形成異常ある症例

では、焦点から両側化する強直間代発作; FBTC; 1.4となる。

<症例2> 28歳女性 長時間VTR脳波中に検出された。 胃のあたりからこみ上げてくる感覚を覚えた後、口をクチュクチュし、右 で側にある物をいじくる。この間、患者は覚えており反応できた。焦点性意 識保持性の焦点性発作; EPC; 1.1で、観察できた徴候を有する:上腹部前兆 →口部食機能性自動症+右手の仕草自動症+自覚があり反応もできる。 あらためて言うまでもないが、てんかんがどういう病気なのか(てんかん症候群の分類)をすべからく理解するには、さしあたりてんかん症候群の主症状たるてんかん発作が、この患者さんではどういう発作状態なのかを第三者が共通して通じ合えること(発作型の分類)が最初に重要となる。近代医学としてのてんかん医学の発展の歴史は、今回は詳述は避けるがさしあたり2017年の「発作型分類」と2022年の「症候群分類」に煮詰った。1909年に発足し110年を超えたILAEは、二度の世界大戦からも患者を守り抜きながら、自らも営々と「てんかん発作型の分類」と「てんかん症候群の分類」に明け暮れてきた。 国際分類誕生の歴史のその経緯と発端をよく伝えるものに、和田豊治先生(故人)の「てんかん事典」(金原出版、1974年11月10日発行)での「序文」と「訳者序」がある。Gastaut HとBroughton RJらの努力、1967年からの世界保健機構WHOからの支援、ILAEの弛まぬ支持(当時)があったことが、現在の成果に繋がっていることが分かる。60年にならんとする国際てんかん学会の発作型・てんかん症候群の分類作成の営々とした努力は変わらず、今も昔も基本は同じである。とはいえ、逐次改訂されてきた分類内容はまだまだ医学革命と呼ぶほどのものには至っていない。世界中の私たちてんかん医は毎日、毎日、小さな石を積み上げるのに精一杯であるが、てんかん学には必ず新しい世界が来ると信じている。        (Drソガ)

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5.Gastaut H, Broughton R. (1972) Epileptic seizures: Clinical and electrographic features,

diagnosis and treatment. Charles C Thomas/Publisher, Springfield Illinois, 286pp.

6.Gastaut H(translated into Japanese by Wada T).てんかん事典.(1974)金原出版、東京、

序文等6ページ・本文80ページ・索引8ページ、2900円.