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薬剤科

病院の薬剤科は薬局と呼ばれ、その窓口は外来に向いています。外来患者さんへの窓口は外来処方箋をお渡しする扉です。扉は幾つもありますが、入院患者さんへの仕事が本業であるという扉が大きいことは存外に知られていません。そのお話しをご紹介とします。

てんかんは幾つものタイプがあり、新生児・乳幼児・小児てんかんには予後良好なものがたくさんあるのですが、重症のタイプも数多くあります。思春期以後発病のタイプはなかなかに頑固で、一生とは言わなくとも相当長期間患います。てんかん専門病院にはいずれ、簡単には治ってくれない方々が多く通っています。とはいえ、お薬で七割以上の方が発作を止めることができます。

さて、てんかんはお薬なしには語れない病気です。お薬とは、「抗てんかん薬」と呼ばれていますが、てんかん関連学会の論文では、抗てんかん薬から「抗発作治療薬」ASM:Anti-Seizure Medicationsと呼ぶようになりました。そのASM、お薬を何かしら理由や都合があって、お薬をのまなくなって救急車で緊急搬送される方々が少なからずいらっしゃいます。お薬をのみ続けていた時は普通にお暮らしでした。てんかんは残念ながら治ってはいない方が多く難しい病気です。とはいえ、お薬で発作症状を抑えていれば普通に生活できます。お薬を欠かさずきちんと飲み続けることが第一です。毎日同じ時間に決められた量をしっかりとのみ続けていても残念なことに発作が再発する場合、より確かな新たなお薬を追加する必要があるのでしょう。

てんかん発作は定義上、脳細胞が過剰に興奮して異常な刺激が体の中にある脳の外、つまり体の外に出てしまった状態を指します。てんかんのお薬は、その異常な刺激が外に飛び出さないように壁を作って防いでくれています。お薬を飲むのを忘れてしまった、飲まなくとも大丈夫と油断なさると(怠薬)、大事なその壁の厚みを薄くしてしまうのです。のみ忘れは壁にピンホールを開けることと考えればよいでしょう。壁が薄くなれば異常な刺激がその壁を突き破ってしまうし、ピンホールが開けば、そこから飛び出してしまうかもしれません。これはリバウンドと呼ばれますが、リバウンドは今まで経験したことのない強さで襲ってくることがあります。怠薬やのみ忘れは誰でもない自分が損をするだけだと考えてください。

病院薬剤科は外来患者さんとの接触が少ないことは職務上仕方がありませんが、お薬のことなら何でもお答えしますので、外来の方でもご遠慮なく、お気軽にお声をおかけください。薬剤師さんとお話しできますか、と。

目次

  • ベーテル薬剤科概要
  • 薬剤師とは
  • 病院薬局と街の薬局の違い
ベーテル薬剤科概要
薬剤師数

現在薬剤科には2名の薬剤師が配置されています。外来患者は院外処方対応としていますので、通常は入院患者のお薬の調整をしております。お薬の調整には様々な業務内容があります。

調剤と薬剤在庫管理

まず入院患者さんの処方箋を調剤します。薬剤の在庫を上手に管理するには、調剤後に補充する、定期的に在庫量を見通すなどの適正な在庫管理が求められます。未使用のまま消費期限が切れてしまうものもあり、医師側に伝達します。

薬剤情報・保管

そして、お薬には必ず求める効能と求めてはいない反応がありますので、そのことをわかりやすく患者さんに説明いたします。薬剤情報にそのための情報収集作業が重要な業務になります。その情報は医師はじめスタッフ全体に伝達します。法律で規制されている薬剤もありますので、法に則った管理が求められます。

薬剤の保管には適正な温度管理が必要なものもあり、保管方法の周知・管理も重要な業務となります。

指導内容の記録やその保管もカルテとは別に必要になります。

薬歴の調査と薬歴作成とティーム共有

一方、てんかんの患者さんの服薬歴はとても重要です。ベーテル受診以前からの服薬歴を調査することも重要な仕事となっています。お薬手帳はその履歴を調査するうえで重要な情報源になりますので、できる限り過去のお薬手帳をご持参ください。

入院患者さんの薬歴は患者さん・ご家族とのインテイクともどもカルテにも挟まれ、病棟担当看護師を筆頭としてMDTBメンバーに共有されます。処方変更は都度追加記載され、最新のものにします。

薬剤指導

入院患児者さんの処方は原則一週間の間合いで変更されます。新規の薬剤が導入されたり、増量(漸増)されたりします。副作用が強ければ、あるいは過量となれば、減量(計画的に漸減もしくは慎重に抜去)となったりします。

お薬には最大使用量というものがあり、血中濃度が治療最大値に達していても効果が全く認められない場合は、いずれゆっくりと止めていきます。お薬との相性が悪く、発作が悪化する場合には、通常早急に止めることになります。この処方変化を患児者さんに都度説明し、改善、変化なし、悪化兆候などを医師や関係スタッフに伝達します。

患児者さんが薬の変更が難しい場合には、担当ナースと協議し、ご家族やケアギヴァー施設や機関の担当者にお伝えします。

抗てんかん薬血中濃度の確認

てんかんのお薬は脳に作用するお薬なので、血中濃度の測定がとても重要になります。処方量から見て低すぎたり高すぎたりする場合などには不規則にお飲みでないか、また肝臓や腎臓に問題ないかを確かめます。その人にとって適切な量を維持していくために決められた量を定時に服用することが求められる所以です。服薬の継続の重要性と服薬遵守を何回もお話しするのはそのためです。

薬剤師とはどういう仕事か

日本薬剤師会規定では薬剤師は

一 薬剤師は国から付託された資格に基づき、医薬品の製造、調剤、供給において、その固有の任務を遂行することにより、医療水準の向上に資することを本領とする。

一 薬剤師は広く薬事衛生をつかさどる専門職としてその職能を発揮し、国民の健康増進に寄与する社会的責務を担う。

一 薬剤師はその業務が人の生命健康にかかわることに深く思いを致し、絶えず薬学、医学の成果を吸収して、人類の福祉に貢献するよう努める。

端的に言えば、世の中の医薬品の研究、生産、流通、管理、保管、販売、調剤、薬剤指導等あらゆる面に関与している職種となっています。

病院薬局と街の薬局の違い

病院でも通常薬剤師が調剤する場所を薬局と呼んでいますが、法的には薬局ではないのです。正式には「調剤所」といいます。病院の調剤所では、当該病院の処方に基づく調剤のみが許されていて他病院の処方は調剤できません。一方街の薬局は保険薬局とも呼ばれていて、どこの医療機関の処方箋でも調剤できるし、医療用以外の一般薬も販売できるのです。

病院薬剤師は入院患者のために、街の薬局は外来患者のためにあるといえるかもしれません。

(武者利樹)