夢をかなえてくれたDrソガ「ありがとう」
松坂 綾子
私のてんかん発作は、全身を激しく動かし前方に人がいれば足蹴りしてしまうし、体が前後に揺れて前にも後ろにも転倒してしまう、凄まじいもので、一日に何回も連発し体力的にも精神的にも立ち上がれず寝込んでしまうしかないものでした。この発作を完全に抑制しない限り社会生活を夢見ることすら叶わない闘病生活でした。
やっぱり、私の発作を止めてくれるのはDrソガだけだと確信し、最後の砦のてんかん専門病院ベーテルに入院しました。Drソガとのてんかん発作の完全抑制に向けた闘いは、想像した通り長期戦となりました。ヘルメットは何度壊れたかわかりません。その度にいろんな色に変えてみたりと気分転換を図りました。
しかし、いつの時も決して諦めることなく挑戦は続けられ、2020年11月から少しずつ発作が減り始め、2023年6月20日を最後に、一月、ふた月と発作のない期間を経て、今年4月で10ヶ月発作がありません。もう一度社会で生きられるかもと夢が膨らんできました。
私の夢は、HBAのグループホームに入り、作業所リーチェに毎日通所し、仲間たちと共に普通の生活をすることです。当たり前のことができなかった、私の小さな願いです。再発することなくずっと幸せに暮らしたいです。
この時代、私のような難治てんかんを抱える皆さんが、入院治療で発作の完全抑制を目指すなど聞き及びませんが、わたしは既に親も亡くなり帰る場所がなく、Drソガに救ってもらいました。この9年間は、ベーテルの病棟が家で、共に暮らす仲間は家族でした。ヘルメットを外すということも私にとっての新たな挑戦ですが、私の奇跡の瞬間をこのベーテルで皆さんにお祝いして頂けたことは、長き人生の最大の想い出の一ページとなりました。
この9年間のベーテル生活で、いろいろな出会いがありお世話になった患者の皆さん、スタッフの皆さん本当にありがとうございました。本日の脱帽式に当たり、たくさんの方々からメッセージや手紙やプレゼントを頂戴しました。ありがとうございました。そして、私の大好きなDrソガに、心から感謝しています。ありがとうございました。
これまで、ベーテルの患者さんは殊更にてんかん闘病さいなまれています。が、彼女もまた数多くの問題に直面し続けてきました。その筆頭のお一人です。発作がなければ楽しい社会生活をさまざま経験してきたかもしれません。人生の中でおそらく病院で過ごしてきた時間があまりに長くなり、三千人を越える退院患者を見送りながら、当たり前だったことが自分はできないと涙した時期もありました。
桜の開花を迎え、あれだけ発作で苦労してきた彼女がようやく希望あふれる新生活の準備に取りかかれるまでにきたことを大変うれしく思います。これから、新しい経験を積み重ね、楽しい人生を送っていただくことを切に願います。
看護師長 石川 真弓
2024年4月8日
【これでようやく社会に飛び出せる】
毎日毎日襲いかかる、凄まじいてんかん発作に翻弄された人生に、ピリオドが打たれた日から10か月を迎えた今日、綾ちゃんは長年愛用したヘルメットを脱いだ。この日を誰よりも願ったのは、今は亡きご両親である。きっと何処かで今日の晴れやかな姿を見守ってくれているはずである。
Drソガと闘い続けた、9年間に及ぶ入院での闘病生活を思い出すと涙が零れる。新薬に挑戦し続けた期間は、副作用と闘いがあった。てんかんの外科治療に挑戦し発作を何としても止めたいと願った日もあった。結局どの道も閉ざされ、Drソガの治療に望みを繋いだ日々であった。自分の発作は、Drソガしか止められない、そう思った日からずっと、いつの日もDrソガの魔法が効きますようにと願いを込めながら薬を飲み続けた。最後に素敵なご褒美が待っていて、やっぱり、Drソガは魔法使いだったと知った。
夢が叶った今、社会で仲間たちと共に生きることを決心した綾ちゃん。幸せな時間を過ごせるように応援していきます。
海野 美千代