御礼
仙台てんかん医学市民講座Ⅲ EPLS-2023 春期 開催
2023年7月1日、仙台国際センターに於いて、「総合テーマ:ようこそてんかんの世界へ」と題し、仙台てんかん医学市民講座Ⅲ EPLS-2023 春期第31回を開催致しました。今回は、合わせて、てんかん駅前クリニックベーテル7周年をお祝いする会となりました。新型コロナウイルス感染症拡大により、皆が一堂に集まり開催することが叶わない長き時間を経て、今回は、何と4年ぶりの通常開催となりました。開催側の心配をよそに、総勢200名の皆さまのご参加を頂き盛会となりました。直接の参加が叶わない方々にも、学びの機会をとYouTube live配信での開催と致しました。
トップバッターのSpeak Outは、てんかんの方々の社会復帰を支えて25年目を迎えるハンス・バーガー協会を応援する2題の発表です。当事者のお一人は、新薬の治験3回目にしててんかん発作の完全抑制を獲得し、てんかんのためだけに作られたハンス・バーガー協会運営のグループホームを利用しながら、てんかん人生を強く生き抜き自立した力強いご発表でした。
お二人目は、不動産業を営みながら、より快適に暮らせる住まいをご紹介下さり、また、ハンス・バーガー協会の理事として、てんかんを抱える皆さま方の社会生活を支えてくださる、力強いサポーターの発表でした。
てんかんケア講座には、栗原市に障害者を雇い続けるための、官民一体の就労支援スタイル、栗原モデルを構築し、NPO法人栗原障害者就労支援センターを設置した、株式会社 大場製作所 取締役会長 大場俊孝さまよりご講演頂きました。
この動きが全国展開され、てんかんを抱える皆さま方が、生き生きと社会で生活できることを心から願いたいものです。
てんかんケア実践講座、私たちのお仕事は「てんかん専門」。第9回目となる講義は4題。てんかん専門のみで365日仕事に当たる4名が、それぞれの専門分野からてんかんを語りました。41床の病棟で実際に展開されるてんかん診療からの報告は、誰も知らないてんかんのはなしで溢れています。講義しながらスタッフも育成されていく時間です。
医学記念講座には、自治医科大学脳神経外科教授 河合謙介先生にお越しいただき、「てんかん外科治療のパイプライン2023」と題したご講演を頂戴いたしました。てんかん診療の障壁(課題)は、Treatment Gap 情報不足や偏見、差別、地域格差により治療があるのに、治療に辿り着けないこと、とスティグマ。日本のてんかんの手術は年間600件ほど行われている現状である。限局性病変を確認できれば70-90%の発作消失率があり、30%は抗てんかん薬を終了することができる。しかし、難治に経過した発作は完全に止められない。そこで、付加的に効果を発揮する緩和的治療として脳梁離断術や迷走神経刺激療法がおこなわれている。今後、視床前核脳梁部刺激療法としてDBS、RNSが普及していくであろうとのこでした。
また、2031年までの国際到達目標に、昨年初めててんかんが国際的に取り上げられ、全参加国で2021年に比較しててんかんに対する医療保障を50%増加させること、8割の参加国でてんかんのある人の人権保障に関する法令を作成または改定することが掲げられたとのことです。大いに期待したいものです。
てんかん医学連続講義は3題。てんかん専門病院ベーテルDrソガ、てんかんクリニック仙台駅前ベーテルDr荒谷、てんかん専門病院ベーテル Ns海野が講義しました。
てんかん医学市民講座の会場に直接足を運ぶことによって得られる、てんかんという病気の新しい学びがあり、そして、同じ思いに触れ感動し心揺さぶられる時が、てんかん問題に向き合う自分を励ましてくれる。そんな時間であれば幸いです。YouTube配信中となっております。より多くの皆さま方にアクセスしていただきますようお願いいたします。
私共は、今後とも皆さま方のご支援を賜りながら、てんかん医療と社会啓蒙活動に努めてまいります。より一層のご支援をいただきますようお願いいたします。
カーレ仙台 海野美千代