・仙台てんかんケア資源開拓コンソーシアム 愛称−てんかんの利用者さんを守る懇話会 福祉施設関係者と専門医療関係者との協働

・仙台てんかんケア資源開拓コンソーシアム 愛称−てんかんの利用者さんを守る懇話会 福祉施設関係者と専門医療関係者との協働

初の試みとなる福祉関係者と専門医療者が協働する「てんかんの利用者たちを守る懇話会・仙台」が、2023年5月26日にホテルメトロポリタン仙台で開催されました。午後半日を費やす会議でしたが、「大いに語り合い」、てんかんの利用者さんを守るため、最後まで和気あいあいと進みました。ECRCS、仙台てんかんケア資源開拓会議と堅苦しい会議の名称ながら、入所利用者さんのてんかんケアを大いに語り合えました。盛会を喜びながら、先ずはてんかん懇話会のために多忙を極める職員の皆さま方をご派遣下さった施設長の方々に心より感謝申し上げます。

開設30年にもなるてんかん専門病院ベーテルには、福祉施設に入所中のてんかんの患者さんがお通いです。20年間もベーテルにお通いの方も多数おられます。その方々のてんかんは重症、重度の方が大半を占め、闘病生活は語るに余りありほどです。加えて、その方々にも高齢化が進んでいます。特に重い肺炎になり救命治療が必要であったり、また成人病、高齢病の病魔に襲われる方々が増えてきました。お世話する施設の方々の苦労が重なってきています。

お集まり頂いたのはベーテルにお通いの入所施設の施設長、ケア担当の方々で、14施設から30名でした。言うまでもなく、入所施設は重いてんかんの方々をお世話なさっておられます。その利用者の方々も高齢化が進み、近年成人病、老齢病の身体合併症に襲われている情報が増えています。てんかん発作の群発や重積への対応に追われるのがこれまでの姿でした。これからは高齢化に伴う合併症への上手な救急対応の姿が求められるようになりました。

本会議の開催趣旨は、高齢化するてんかんの施設利用者をあらためて守っていくには、福祉施設職員とてんかん専門病院スタッフの両者が協働して情報を共有し、てんかん発作と高齢化合併症対策をとりまとめていくことにあります。さしあたり、個人ごとに情報を適切なものとすることから始め、ケアマニュアルとなる個別プログラムを作成していくとなりましょう。とにかく、先ずは直接一堂にお会いすることから始まります。

会議は、プログラムのとおりです。

今回は礼儀として、ベーテル側からの話題提供とし

1、    当院にお通い中の入所施設利用者204名のてんかん概要

2、    てんかんの外来診療と専門看護管理の実際

3、    てんかん病棟での入院診療から外来フォローへの橋渡し をご紹介いたしました。

次に

4、    上記2と3でご紹介差し上げた入所施設を利用する方々の症例を通した話題提供に関して、ご参席者参加者からご意見、ご見解をご発言いただきました。

5、    最後に、「てんかんの利用者さんを守る」を締めくくりました。

 

ご参席者からは、

1、    全身けいれんの発作を見たことがないスタッフが多くなり、てんかん発作の観察と記録からの再教育が必要だ

2、    小型の発作症状の見分け方へ重点を置いた、利用者さん毎の個別教育が必要となっている

3、    利用者50人に対し看護師が一人の体制で十分な利用者の管理までは手が回らない

4、    てんかん発作の重積時の救急病院の受け入れに困難があった

5、    てんかん以外の他科受診時にも毎回てんかんの説明が必要

6、    特に精神科受診ではてんかんの診断作業が優先される

7、    転倒を伴う発作があり危険を伴う事態でも、ご家族に転院を薦めるのは職柄難しい

などのご意見が披露されました。

なお、この会議は参席者を限定したいわゆるクローズドな会議ですので、概括報告はありましょうが、個別の、発言・意見・提言が公開されることはありません。とはいえ、初めての試みの会でもあり、呼びかけ人含めて、知り合い以上とはなってのクローズドな会議に手慣れるのはなかなか難しいものなのかもしれません。

 

大変に有意義な会となりました。不慣れはご容赦ください。ご参席のご施設さまからは現状の一端をご披露いただきました。呼びかけ側の医療スタッフ側もどのご施設にも実際に見学させていただき、利用者さんがお住まいのお姿に触れさせていただければと、願っています。

最後になりますが、ECRCS の今後の展開と発展のために、ご参席のご施設、スタッフの方々には、今後のECRCS開催のお世話役をお願いできれば幸いです。合言葉は、重症化し高齢化していくてんかんの姿を想像し(imagine)、次代を創る(shape the future)です。生涯に渡って伴奏する私どもケアラーしかできないことなのです。

医療サイドからは生涯てんかんケアの専門家、ご参席者施設スタッフサイドからは私たち以外にはいない伴走者。入所施設利用者のみなさまからそのように評価されたいものです。

追補となりますが、入所施設とは見做されていない、いわゆるグループホームを利用されている、それなりに重度のてんかんの方々がいらっしゃることに気づきます。この会議を引き継ぐ形でその方々に伴走するご施設の方々とお会いしたいと願っております。本日ご参席のご施設も既に多数のグループホームを運営なさっておられます。てんかんの利用者さん達のお導きについて、運営方のご案内をご指南頂ければ幸いです。

Ⅰ年後の次回ECRCS①-2024開催でお会いできますよう、楽しみにしております。

カーレ仙台 海野美千代

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